コロナ禍で大きな打撃を受けたカラオケ業界の今後は、感染防止対策の徹底による安全性のアピールと、カラオケルームの新たな利用法の模索が、苦境を打破するカギとなってくる。カラオケ各社では、マイクなどの周辺機器への徹底消毒などの対策を実施。理化学研究所と神戸大学などがスーパーコンピュータ「富岳」で行ったシュミレーションでは、換気口の下でマスクを着用すれば通常の歌唱時に比べて飛沫の飛散量が大きく減少するなど、対策が取られていれば安全性が確保されることが分かっている。
高い防音性能を活かした「歌わない」カラオケルームとして新しい使い方の提案も進んでいる。無観客ライブなどの生配信も行う「みるハコ」など、カラオケ以外のアミューズメント需要を模索する。
その他、プライバシー保護性能の高い個室などを活かした 一人で楽しむ「ヒトカラ」も需要が伸びてきている。また、駅に近い店舗立地を活かし、ワーキングスペースとしての利用を目的としたレンタルオフィス事業の展開。法人向けのテレワークプラン利用を拡大し、サテライトオフィスとしての利用促進を図っている。平時の営業状態への回復は今のところ見通しがつかず、中長期では少子高齢化から市場の拡大も大きくはない。今回の感染再拡大や緊急事態宣言の再発出により、経営体力の弱い事業者の淘汰や閉店が一層進む可能性が高いかもしれない。