ラジオ体操
おそらく一度は誰もが体験したことがある「ラジオ体操」。単純な動きに見えるラジオ体操ですが、実はわずか3分ほどの運動の中で、頭のてっぺんから、前後、左右、上下とひと通り身体を動かすようにできています。
それほどハードな運動ではありませんが、非常にバランスがとれているすばらしい有酸素運動なのです。
身体を目覚めさせるためにも、やはり一日の朝にやっていただいた方がいいと思います。人間の身体は、目が覚めてから能力が発揮できるようになるまで3時間くらいかかるそうなんですね。そこで毎朝早く起きて、散歩して体操をすると、30分くらいに短縮される。そうすると一日のスタートが良くなる。毎日ラジオ体操をやっている方は、よくそうおっしゃいます。
パソコンにずっと向かっていたりして、自律神経が過酷に使われていると、夜になっても興奮して眠れない、そういう状況が出てきます。そこで眠るためにアルコールを一杯飲んだりするのもひとつの方法かもしれませんが、アルコールの代わりにラジオ体操を一回やっていただくのはどうかと。
そういう状況でラジオ体操をすると、運動神経と自律神経のバランスがとれてきます。人間の身体というのは、片方の神経だけを使っていると、そのアンバランスが疲労の原因となってきます。運動をして自律神経が休まるわけではないのですが、両方が一緒に疲れてくるので、神経のバランスがとれて休めるようになると。ですから、神経のバランサーとしてラジオ体操を使う、というのも有効なんです。
他に、オフィスの中で気分転換として15時頃にやったりするところもあるようですね。仕事以外の刺激を身体に与えて、神経の疲労を置き換えて、バランスをとっていくわけです。
ラジオ体操協会理事長に聞く、ラジオ体操をやるときの注意点
3つ申し上げると、まず「無理にがんばって力まない」こと。力が入ると筋肉は緊張し、硬くなりますよね。そうすると血行が良くならない。だから、なるべくのびのびと柔らかくやっていただきたい。
2番目は「呼吸を止めない方がいい」です。ゆっくりでいいですから、吸ったら吐いて、吸ったら吐いて……とやってください。ラジオ体操は有酸素運動ですから、100メートル走のように一気に駆け抜けるものではありません。
3番目は、なるべく「音楽を味わいながら」やっていただきたい。音楽を味わうと、精神的にリラックスできます。もう知っているから聴き流すではなくて、音楽を意識していただいて、楽しんでいただけるといいと思います。ラジオ体操の音楽はおだやかに流れているものですから、今申し上げた「力まない」「呼吸を止めない」を助けてくれます。
ラジオ体操は、はじめからフォームを気にして「こうやらなくてはいけない」と思わなくてけっこうです。今申し上げたことをうまく味わえるようになったら、徐々に覚えていただければいいと思います。