新型コロナウィルス感染拡大の影響で、カラオケ業界が深刻な打撃を受けている。これまで、主な顧客である若年層の人口減やアミューズメントの多様化など必ずしも良好な経営環境とは言えない中でも、身近で手軽なレジャーとして定着してきたカラオケ。新型コロナウィルスの感染拡大以降は、店舗営業の休業や時短営業を余儀なくされたことで稼働率が低迷。各社で売り上げが急減している。特に都市部の繁華街に店舗を構えるカラオケ店では平常の営業状態に戻る目途が立っていない。こうした状況のもと、これまでの各社業績推移を基にした2020年度のカラオケルーム市場は、前年から半減する可能性があり、非常に厳しい状態の推移が見込まれる。
カラオケは近年、安価で手軽に楽しめるレジャーとして再注目されてきた。2019年のカラオケ参加人口は10年前に比べると約6割の水準にとどまるものの、最も落ち込んだ2016年からは増加している。そのため大手事業者などでは、繁華街を中心とした積極的な出店や新機種の投入、フードメニューの拡充などで利用者の獲得を進めてきた。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い3密を避ける動きが利用者に広がり、カラオケ業界でもその影響に直面。自治体などから休業要請を受け、特に歓送迎会シーズンとして例年稼働率が高い3~4月に全店での休業を余儀なくされ、各社の売り上げ動向に大きな影響を及ぼした。さらに営業再開しても、利益率の高いフードサービスを制限するなど平常通りの営業は依然として困難だったほか、会食自粛や都心部を中心に在宅勤務が広がったことや感染の再拡大、2度目の緊急事態宣言の発出で、特に繁華街を中心に事業を展開していた店舗で苦戦が続いている。