お知らせ

国産タオル業界-1-

 タオルやブランケットなどを製造するタオル専業メーカーの売り上げ規模が2019年に過去10年間で最高となった。近年はやや頭打ちの傾向も見られるものの、売り上げ規模は10年間で約4倍に拡大するなど業界の成長が続いている。かつて国内のタオル業界は、バスタオルなど家庭向けの汎用品を中心に中国をはじめとした外国製の安価な輸入製品が流入。国内消費の低迷も背景に、割高な国産タオルが市場から押し出され、苦戦が続いていた。
 しかし、近年は高付加価値・高品質タオルによるブランド戦略が進み、「今治タオル」「泉州タオル」などの産地ブランドも定着。製造小売化や輸出の増加など、販売チャネルの多様化も進んでいる。海外製品と競合しやすい低価格帯の汎用品から脱却し、高付加価値化で「量より質」に転換。高い技術力と品質、販売力を手にした国産タオル復活の道のりが見えている。

今後の国産タオル業界も、高級タオル市場で収益を確保する展開が続く点に変わりはないとみられる。ただ、コロナ禍で贈答用などを中心に受注減も発生し、年間売り上げ規模は一時的に縮小と予想され、足元ではインバウンド需要の蒸発に加え緊急事態宣言の発出による営業自粛などで百貨店等の販売が落ち込んでおり、前年比3割程度の減収となったタオルメーカーもあるなど、販売に大きな影響が及んだケースも少なくない。
 業務用でも、稼働率の低迷が続くホテル向けなどでは大幅な重要減がみられ、回復にしばらく時間を要するとみられる。衛生面の意識変化を追い風に、タオルの使い捨てといったニーズの変化や、エステサロンなど業務用の高付加価値タオル需要が底堅いメーカーもあるが、タオル需要全体の減少分を補うことは難しいとみられる。そのため、2020年の国内タオルメーカーの売上規模は一時的に前年を下回る傾向で推移すると予想される。

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