新型コロナウィルス感染拡大の影響で旅行などの移動が大幅に制限され、単価の高い海外渡航や修学旅行などの団体旅行も延期や中止が相次ぐなど、全方位で旅行需要が急激に縮小。政府支援策である「GO TO トラベル」も短期間のうちに停止したことから効果が限定的で、業績への打撃がより大きくなった。
ただ、旅行会社のダメージがここまで広がった背景には、リアル店舗の旅行各社を中心にデジタル化が遅れた影響もある。近年はホテルや公共交通、旅行パックなどの集客がリアル店舗からネット予約へと(2019年時点で50.1%に上り、6年前から約30ポイント増加するなど)シフトしていった。
こうしたなか始まった 「GO TO トラベル」 でも、予約などはネット経由が中心っとなって推移した。そのため、リアル店舗を主軸とする旅行会社では特需の取り込みが限定的となるケースも発生。時短営業などのマイナス要素も重なり、ネット対応の進捗が明暗を分ける一因となった。
旅行各社からは「新型コロナウイルスのワクチン接種が行き渡り、旅行件数が上がるまで辛抱」など、現在が旅行需要のボトム(底)と捉え、 新型コロナウイルスのワクチン接種による今後の回復に期待する前向きな声もあがっている。
ただ、これまで1年超の忍耐を強いられてきた中、需要回復より先に経営体力が限界に達するなど「息切れ型」経営破綻がさらに増加する可能性は低くない。