お知らせ

交通事故 ご遺族の手記

妻が亡くなったことについて

 平成○○年○○月に交通事故で亡くなりました。
相手の脇見運転が原因です。時間にすれば2秒から3秒の脇見が妻の一生を奪ったのです。
その日、朝は妻と二人でご飯を食べて、私はいつものように釣りに出掛けました。
妻は畑に行くと行っていましたが、この時の会話が妻と交わした最後の言葉になりました。
 妻が事故に遭ったのは、午前8時半ごろです。相手は近くに住んでいる会社勤めの女性でした。
出勤前に用事を済ませようと急いでいたのと助手席のバッグが気になって脇見をしたため、自転車で道路を横断していた妻を発見できなかったのです。跳ね飛ばされた妻はブロック塀に叩きつけられました。
 釣り場から呼び戻されて慌てて病院に行くと妻は手術中でした。手術が終わり集中治療室に運ばれる妻に声を掛けましたが反応は無く、担当の医師からは「出血がひどく、今夜がヤマです。」と言われました。その夜、息子が見舞いに行ったところ、目を開けて何か言いたげだったそうです。意識が戻ったのだと思いますが、大きな怪我だったので大変苦しかったのではないでしょうか。
 次の日の朝、病院から「容態が急変した。」との連絡があり急いで駆けつけると、私たちを待っていたかのように妻は息を引き取りました。
 亡くなった妻と一緒に自宅に戻ると相手の運転手が来ていました。彼女は泣いて詫びていましたが、妻を失った悲しみが強く、何も考えられませんでした。彼女は妻の命日やお盆にお墓参りに来ます。お線香もあげてくれますが、事故から3年が経った今でも、恨む気持ちは無くなりません。あの時の悲しさは忘れられません。彼女は執行猶予付きの判決を受けましたが何故、妻が死んだのに刑務所に入らないのか不思議です。一生罪を背負って苦しみながら生きて欲しいと思います。
 彼女は私の家の近所に住んでいます。その親戚も私と同じ自治会に住んでいます。私はその人たちの顔を見る度に元気だったころの妻を思い出し悲しくなります。遠いところに住んでいる人であればこんな思いもしないで済むのに、どうして私が今でも苦しまなければならないのでしょうか。
 妻が亡くなり、私は一人きりになってしまいました。息子や民生委員さんも時に訪ねてくれますが、一人で作り一人で食べるご飯はとても寂しいです。もう一度妻と二人でご飯が食べたいです。自転車に乗っている女性を見る度に妻を思い出します。あの時、あの人が脇見さえしなければ妻は生きていたはずです。
 自転車に乗る皆さんに言いたいことは、何処にでも脇見運転をする人がいるということです。決して事故に遭わないでください。目立つ姿で車の注意を引いてください。そして家族も悲しませないでください。私のような人をこれ以上出さないでほしいと思います。

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